ヘアスプレーに感染するバクテリア「Microbacterium hatanonis」


新分類された奇妙な生物10種 | WIRED VISION
http://wiredvision.jp/news/200905/2009052823.html


にて知りました。
 「Microbacterium hatanonis」という名称は発見者である Dr Kazunori Hatano(波多野和徳)氏にちなんだものだそうです。


 このバクテリアはヘアスプレー内から採取されたもので、たいへん興味深いものとなっています。ほかにも「Microbacterium oxydans」と呼ばれる菌種もヘアスプレー内より発見されているそうです。Microbacterium種は病院内や様々な環境に適応することができるため、様々な場所がこの菌種の汚染を受けているのではないかと推測されているそうです。ただし人間への影響はこれから調べてみるところである、と述べられています。


 少なくとも従来汚染の度合いが低いと思われていた箇所においても、このようなバクテリアが発見されたことにより、どのような環境下でも無菌状態を保つことは非常に困難なものであることを物語っているようです。とりわけ日常の中で、中毒や感染症の原因になり得る心配がないものとして認知されているものが、一転して感染源になることへの恐怖を想起させます。例えばペットボトルのような口の直接的な接触が頻繁に行われるものであったり、開封後の化粧水や乳液等の内部の環境においても、油断はできないぞ、ということなのでしょう。


 近年、衛生観念の発達により滅菌減菌の技術は確実に進歩しており、過度な心配は無用のはず・・・ですが、将来的により有効となるのはもしかすると発酵食品に代表されるように、環境内の構成要素自身が自らの環境を書き換え、人間にとってより有利に働くようコントロールしていくような、環境と共生するタイプの技術なのかもしれません。現在においても乳酸菌投与はよく行われている手法だそうで、味が変わるという欠点はあるものの、様々な応用が期待されています。


 自然に抗い逆らいながら生きていくには、まだまだ人類は未熟だということを考えさせられる魅力的な発見ですね。


[追記]

Microbacterium hatanonis - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/Microbacterium_hatanonis


英語版wikipediaによると、この発見にはあの辨野義己先生も関わっているそうで、名称については「Named in honor of Dr. Kazunori Hatano, "for his contribution to the understanding of the genus Microbacterium."」となっています。つまり発見者は違うようですね。ここら辺よくわかりません。



[参考リンク]


Top 10 - 2009 | International Institute for Species Exploration
http://species.asu.edu/2009_species10


Microbacterium Hatanonis Bacteria Contaminate Hairspray
http://www.scientificblogging.com/news_articles/microbacterium_hatanonis_bacteria_contaminate_hairspray
最初にでてきたニュース記事。
タイムスタンプは2008年03月07日。


ヘアスプレー バクテリア - Google 検索
ググってもたいして情報がでてきません。


波多野和徳 - Google 検索


Microbacterium hatanonis - Google Search
こちらは英語でのGoogle検索結果。
それなりにニュースが出てきますが、如何せん情報が少ない。